第7回拡大教科書のあり方に関する公開シンポジウム

◎第7回拡大教科書のあり方に関する公開シンポジウム
 6/28 ’14 慶応日吉キャンパス 参加レポート
「デジタル教科書最前線ー教科書の電子化は障害のある子ども達にどのような効果をもたらすかー」


・趣旨説明:中野泰志
(慶応大学)
 小中学校の拡大教科書は実績があるが問題点もある!
 持ち運び困難・使勝手の悪さ
(重い、厚い、分冊が多い、ページが対応していない、検索が困難など)
 見やすくして欲しいがレイアウトは変えないでー紙では実現不可能!
 高等部、高校の拡大教科書供給の必要性に答えるには最も現実的。
 状況に応じて自由に拡大できるデジタルへの期待!
タブレット端末の特徴
 文字サイズ、白黒反転、音声読み上げなど多様な機能を一つの端末で実現。
 誰でも直感的に操作でき、持ち運びが楽。みんなが使っているので普通のツールで、
 操作方法も習い易い。
 メリットは多いが、利用のハードルは著作権問題の解決。

・指定討論:金森克浩(国立特別支援教育総合研究所)
指導者用デジタル教科書は各社から発行されており今後は、学習者用デジタル教科書の普及と
児童生徒が利用するためのアクセスビリティが大きな課題。
児童生徒個々に配布し個別使用を想定、まだ市販されていない、
文科省「学びのイノベーション事業」で試作。
デジタル教科書作ガイドライン4つの原則
 1、知覚可能:テキスト付加、代替えコンテンツ提供、レイアウト変更、カラーUDデザイン、
   白黒反転、表示形式反転、表示形式変更、音の調整や削除
 2、操作可能:キーボードインターフェイス、進行速度変更、光の強さ変更、現在位置の確認
 3、理解可能:表示形式変更、用語解説、ルビ表示、参照情報提示、重要事項等の表示の変更、
   操作方法やデザインの統一、修正機能
 4、互換性・堅牢制:支援技術の利用、テキストデータの抽出
課題整理が必要:学習者用デジタル教科書の定義、ガイドライン見直し、制作コストの課題、
        著作権の問題、教員研修など、法的整備も必要。
・合理的配慮の観点から有益、教科書の世界を変える、障害児生徒だけでなく一般の子どもにも有益
・法的には教科書でなく「教育素材」許諾の点で自由に色んなソフトで使えるようにはならない
・現在の教科書がバラエティがありすぎるのは先生のため、子どもの学習のためではない!


・話題提供、デジタル教科書試作品デモ:光村図書出版、東京書籍
・全体討論(省略)・閉会挨拶:氏間和仁(広島大学大学院)

問題点:
デジタル教科書は市販できる段階に入っているが”教科書として位置づけられていない"ため無償配布できず、
有償負担を強いられる。
著作権問題が解決されていないため、デジタルデータは特定のソフトの中だけでしか使えない。
教科書制作過程で作られるPDFファイルは、拡大教科書制作ボランティアには提供されているが、子どもの端末に
移すことは禁じられ紙の拡大教科書としてしか提供されない。
現在のところ自由に使えるPDFファイルを子どもの端末に入れる方法は、教科書から自分で"自炊"するしかない!
他人が自炊で作ったPDFファイルを入力するのは違法になり、ギリギリ出来るのは”自炊の手伝い”を
することしか出来ない。


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# by yamana-4 | 2014-07-01 08:45 | 教育

JRは新幹線や特急車両に車いすで乗れるスペースを作っていません。

◎現状の新幹線や特急車両では、オリンピック・パラリンピックで
来日する車いす使用者の移動需要を満たせません。
国際的には常識であるフリースペースの設置を、早急におこなうべきでは
ないでしょうか。

東海道新幹線は開業以来50年になろうとしていますが、
16両編成の定員1,323人は変更されたことがありません。

バリアフリー法では車いすから移乗できる座席が2以上あれば良いことになっていて、
適法なのです。実に全座席数に対して0.15%にすぎません!車内には車いすのまま
乗車するスペースは設置されたことがなく、N700系でも移乗用座席が2と車いす専用
ではない多目的室が1(定員1、介助者や赤ちゃんは同室できる)あるだけです。
1列車に3人の車いす使用者が乗れることになっていますが、移乗座席も車いす専用で
はなくベビーカーの人も使うので、確実に予約できる訳ではありません。

昨年のバリアフリー法ガイドライン見直しでは、当事者側から車内にフリースペース
の設置を、義務化するべきとの意見が強く出されました。

しかし、中立的立場であるはずの学識経験者の専門家の先生方は「鉄道事業者の理解が
得られないことは書き込めない」と除けられ、努力目標のままにされました。
一方当然ではありますが、ベビーカーの畳まないままでの乗車を認めようということに
なり、スペースの必要な状況は格段に増えました。

オリンピック・パラリンピックで来日した車いすユーザーは、関西へ旅行したいと
新幹線に乗ろうとしても、1列車に最大3人しか乗れません。

同じN700系車両を使用している台湾新幹線は、車いすのまま2名と移乗座席に2名乗れ
ます。また、とても広いフリースペースを設けている韓国新幹線では、スペースに6〜8
人と別に設けられている移乗座席に1人の、車いすに人が同時に乗車できるのです。
写真は、現状と外国のフリースペースの例と、南海・京成のスペースです。

JRは新幹線や特急車両に車いすで乗れるスペースを作っていません。_c0167961_10574286.jpgJRは新幹線や特急車両に車いすで乗れるスペースを作っていません。_c0167961_10575952.jpgJRは新幹線や特急車両に車いすで乗れるスペースを作っていません。_c0167961_10581673.jpgJRは新幹線や特急車両に車いすで乗れるスペースを作っていません。_c0167961_10583363.jpg
JRは新幹線や特急車両に車いすで乗れるスペースを作っていません。_c0167961_1059360.jpgJRは新幹線や特急車両に車いすで乗れるスペースを作っていません。_c0167961_10591831.jpgJRは新幹線や特急車両に車いすで乗れるスペースを作っていません。_c0167961_1103817.jpgJRは新幹線や特急車両に車いすで乗れるスペースを作っていません。_c0167961_1105255.jpgJRは新幹線や特急車両に車いすで乗れるスペースを作っていません。_c0167961_1112041.jpgJRは新幹線や特急車両に車いすで乗れるスペースを作っていません。_c0167961_1114174.jpg
# by yamana-4 | 2014-06-23 11:03 | 車いすスペース

今年の全国車いすアクセス・マニア集会は京都市で開催します。

◎全国車いすアクセス・マニア集会in京都のお知らせ
日時:7月20日 日曜日 13時より~16時30分まで
場所:京都市生涯学習総合センター
DVD上映(基調講演に換えて):全国に先駆けて「車いすでバスに乗れるようにしよう」とリフトバス運行を実現した「パーフェクト・バスを走らせる会」の活動を記録した映像。貴重な映像で必見です。

住所:〒604-8401京都市中京区聚楽廻松下町9の2 JR・地下鉄「二条駅」徒歩10分程(JR円町駅からの方がやや近いそうです)、 市バス「丸太町七本松(京都市中央図書館前)」下車

現在の日本では、歩けなくなっても、どんな重度の障害があっても、それに応じた車いすを使い、公共交通を利用して旅行したり、行きたい所に行くことができます。そんな旅で味わう楽しさ・困難さの全てを、より楽しさに変えてしまう”アクセス・マニア”達の、旅行自慢話を聞き、自分も発表して、電車や路線バスを利用する仲間を増やそうとする集まりです。

平成15年・東京都国立市で開催されて以来、京都・愛知・香川・福井・滋賀・茨城・神奈川・大阪・東京、神戸で行われ、今回の京都市で12回目となります。「全国」というタイトルは、日本全国の車いすでの旅の話をするという意味で、別に全国の車いす旅行仲間が集まる訳ではありません。けれど、車いすでのアクセスの最新の動向、全国各地のアクセス状況を目いっぱいご紹介します。今回は海外編として、台北の車いす旅の報告も予定しています。

かって駅にエレベーターが無かった頃、あらゆる方法で電車にもバスにも乗ろうと挑戦し「ある時は”トラベル"時どき”トラブル”」を全国で起こしていた旅行者がいました。今では数を増やし、バス・列車・船・飛行機など、あらゆる乗り物を利用し、国境をも飛び越えるのが普通になってきました。でも、"乗れない公共交通”は、まだまだ多く存在します。そこを培った”乗る技術や交渉力”をフルに発揮し、人様の助けも借りて、ある時は内規も変えさせて、行けるとこまで行く。そんな旅行者を”車いすアクセス・マニア”と言う!(主催者の勝手な思い込み?)

なんだかんだと言っても、車いすで旅行する自慢話しの集会かも?と揶揄する向きもありますが、この集会に参加する貴方が「バスや列車に2倍3倍と乗れば、世の中が変わるかも」と感じればオモウツボなのです。

◎ 「旅の話し」当日の発表者を募集しています。(一人20分程度)
 話しだけでもOKですが、プロジェクターで映写出来る準備をしていますので、
 写真があればスライドやパワーポイントのデータをUSBメモリーでご持参ください。
◎ 問い合わせ・事前申し込みは下記へメールしてください。
 (今福)access@access-all-japan.jp
 (山名)cuhww502@occn.zaq.ne.jp
今年の全国車いすアクセス・マニア集会は京都市で開催します。_c0167961_23445712.jpg
# by yamana-4 | 2014-06-22 15:17 | 集会.発表.学会.展示会

「車いす・ベビーカー 」共存を考える2 “乗降口とエレベーターやトイレ"

◎「だれでもトイレ・みんなのトイレ」
トイレはベビーカーの人が時間が掛かるのは当たり前であり、高齢者も早くは
済ませられません。そこで、困っているのが「多機能トイレしか使えない障害者」
なのです。多機能トイレでなくても、一般用トイレを少し広くし、ドアも広くすると
使える人が増えます。
「誰でもトイレ」などと言い出して、空いている時は誰が使っても良いのだと考える
人が増えましたが、多機能トイレは「そこしか使えない人のために空けていることが
大切」なのです。たばこ休憩や化粧をするのに使ってはいけません!
必要な人に優先的に使ってもらおうと思わせる工夫がもう少し必要なようです。
「エレベーター」
エレベーターもバリフリ法ガイドラインに「11人乗り以上」と書いたので、それで良い
のだと大きなエレベーターを付けなくなった風潮があります。
皆が一緒に利用するには15人乗り以上が欲しいところです。
「車両のフリースペースと戸口の段差隙間解消」
全車両がムリなら、1車両だけ徹底して使い易くする方法など、跳ね上げ座席とフリー
スペースの共存を考えているヨーロッパの鉄道の例も参考になり、
鉄道の乗降口の段差隙間解消やフリースペースの拡充なども、もう一度考え直す必要が
あるのではないでしょうか?

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# by yamana-4 | 2014-05-25 15:30 | 車いすスペース

「車いす・ベビーカー 」共存を考える1"車両のスベース"

◎ベビーカーの公共交通などの利用に関して問題があると議論され、
ベビーカーマークが制定されました。
なんと禁止マークまで付けて!
電車やエレベーター、トイレなどに「ベビーカーマーク」車いすと同等に
ベビーカー優先マークを付けることは当然のことでしょう。
今どき「ベビーカーは畳んで乗れ」などと言う人がいるとは信じられないことで、
高齢者の歩行器も同様です。
しかし、皆が今のスペースを分け合うのはムリな場合もあり、
もう少し広くしないと難しいケースもあるのではないでしょうか?
国内ではフリースペースの拡充については「座席が減るので困る」との意見も
根強くあり、特に一部の鉄道事業者やバスなどは不十分なケースがあります。
バリアフリー法のガイドライン制定では、このような状況を的確に想定しておらず
早急な見直しも必要ではないかとも考えられます。
ヨーロッパの鉄道事情に詳しい木島さんの写真も借りて、車両のスペースや
戸口とホームの関係などについて知って欲しいと思います。

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# by yamana-4 | 2014-05-25 15:03 | 車いすスペース