"ありがとう問題" 障害者の立場からは

◉"ありがとう"について岡さんがFacebookに次のような書き込みをされ
みんながコメントして議論が起こっています。
採録してみなさんに読んでいただき、障害者の立場からはよく議論される"良く考えなくてはならない
問題"であることを知り、もう一度考えて欲しいと思います。


★岡さんの問題提起
「バスでは、お金を払って、ありがとう
 昨日のRACDA幹部会で話題になった。バスを降りるとき、自然に「ありがとう」と言っているけど、
 運転手もありがとうと言っている。これってお金を払う方も、もらう方もともに感謝しているいい例だよねって。
 ふつう商店で買い物して「ありがとう」とは言わない。医院に行って治療してもらったら、
「ありがとう」というけど、先方は「お大事に」と言うのてあって、お金をもらっても「ありかどう」とは言わない。
 どんな業種でお互いが「ありがとう」と言うのか。美容院や散髪屋さんでは、お互いにありがとう。
 タクシーもそういえば、言うなあ。飲食店では「ありがとう」か「ご馳走様」。
 どうしてお金を払って「ありがとう」と言うのか、RACDAメンバーの一人は「歩くと苦痛の距離を乗せてもらうから、
 苦痛から開放されるのでありがとうではないか」と言う。
 だけどJRの駅などでも、田舎の駅の駅員には言うかもしれないが、自動改札のあるような大きな駅では言わないよね。
 そこで僕は思った。やはり「人と人が1対1で接するとき、言う傾向が強い」のではないかと。
 これはICカードの場合でも「ピッ、ありがとう、ありがとう」となるものね。バスって安らぐのは、この「ありがとう、
 ありがとう」があるのでは。だとしたら、バスの乗らなくなれば、感謝する癖がなくなり、世の中は不安定化する。
 こういう現象を定量化できないから、赤字なら廃止する、と言ってしまう。
 実は過度に発展した自動車社会の副作用として、人の心の独善化を僕はあげている。講演ビデオをまた公開しよう。
★コメント
・大阪では買い物をしても、お客が普通に"ありがとう"って言います。とても自然に子供も言っています。
・関東ではバスで乗客は「ありがとう」とは言いませんね。後払いの時に運転手さんは確認の意味で言ってますが、
 言わない人もいます。
・私はある人に教えられてから、意識して『ありがとう』って言うように心がけています。
 電話を切るとき、頭を下げるとき、握手をするとき、『ありがとう』ではない時も『ありがとう』って出るときがあります。
 自動改札機に『ありがとう』って言えたら『ほっこり』するでしょうね。
・確かにお金は払いますけど、そりゃあ…、それとは別で、基本的に乗せてもらったから…ですよ。
 私はそんな気持ちで言ってます。お互い、そのほうが気持ちいいんじゃないですか。
・母は、市バスを降りるときいつも「ありがとう」と言っています。ところで、岡さんの最後の文面は、当方も同感です。
 車は好きな時間(真夜中でも)に好きなところ(道路があればどこでも)へ行ける、しかし、鉄道やバスは時間と路線を
 相手(運行会社)に合わさなければならない、しかも、他の乗客と空間を共有する、すなわち、それは協調性だと思うのです。
 皆さん、いかがですか?
・経済学では明らか。商品やサービスを提供した側は原価以上の支払いを受ける(生産者余剰)、買った側は価格以上の満足を
 受ける。(消費者余剰)。だから両方ありがとう。私はすべての買い物の時に「ありがとうございました」と言うようにしています。
 片方のみがありがとうと言う取引は自由主義経済では成立していないはずです。この双方の有難う度を金銭評価したのが
 まさに交通事業の便益です。でもバスに乗る前から消費者余剰があるかどうかわからないと不安になります。
 たとえば、バスが遅れてきたので歩いた方が結果的に早かったとか。
・"ありがとう"は、心の満足を表現する方法だと思います。模型屋で、自分が欲しかった鉄道模型を入手した際、
 鉄道マニアが「ありがとう」と、店員に言っているのを見たことがあります。
・もバスから降りるときは、「ありがとうございました」と言っています。自分を輸送するために、仕事であっても、
 運転手さんは苦労しているのですから。
・コメント読みました。ヨーロッパのLRTのある都市では、低床電車は常識。それも電動車椅子介護なしでどこでも一人で行けるように
 なっています。駅員の補助は必要ない。日本は遅れてますよね。
 もっと遅れてしまったのは、公共心。戦争に負けて、日本人は公共心を失ってしまったようですね。
「強いものには巻かれて、とにかく経済成長」という風潮が蔓延してしまった。
・コメントありがとうございます。バリアフリー法の本当の精神は"介助無しに乗降できる"ようにすることだと思いますが、
 鉄道もバスもスロープ介助が当たり前と思われています。少しの投資で必要なくなるのにムダなことです。段差隙間解消も
 数値目標を決めれば50年も経てば本当のバリアフリーが実現するのに"出来るだけ平に狭く"ではいつまで経っても直りません。
 交通基本法に"移動の権利"を入れると通らないと引っ込めたけど結局は・・と同じで、原理原則の基になる部分を疎かにせずに、
 きちんと組み立てないとその場しのぎに終わってしまう公算が大で、根は同じと考えています。

★私が本ブログに取り上げた障害者にとっての"ありがとう"問題
「新聞に気になる投稿が。あなたはどう考えますか?」

◉「感謝しているか、自問」無職 68才女性(福岡市東区)
 電動車椅子だけでの移動はには限度があるけれど、公共交通機関を利用することで行動範囲を広げている。
 電車なら、駅員さんに行き先を告げれば、到着するころにはスロープを手配してもらえる。私は安心して利用している。
 先日、電車から降り、駅からエレベーターで地下街へ行き、ウィンドーショッピングを楽しんでいた時のこと。
 背後から初老の男性に声をかけられた。駅から私の後を追いかけてきたというので驚いた。「駅員さんにお礼は言いましたか」
 と問いかけられ「はい。もちろんです」と私。その男性は満足そうにうなずかれただけで去っていかれた。
 男性へは即答したが、深く考えないで習慣の言葉として「(駅員さんへ)ありがとう」と言ったのではないか。
 常日ごろ、きちんと感謝を意識して行動しているか。忘れがちになっていたことを、気付かされた。
 声をかけてくれた男性に感謝した。
[10/28/2008 毎日]
◉「この投稿に対して」(毎日新聞「みんなの広場」へ投稿しました。)
 車いすでの乗降に、駅員がスロープ介助することは普通になっていますが、感謝の言葉はもちろん人として当然でしょう。
 しかし、こんな話も聞いてください。
 電動車いすの知人と地下鉄に乗車した時、「ありがとう」を言わないのです。なぜと聞いたら「子供の時から何をしてもありがとう。
 もう言い疲れた」。はっとして胸が痛くなりました。普通のことをするのに彼は、何度「ありがとう」と言ってきたのか、
 何時も何時も言い疲れるほどに!
 障害歴の浅い私も、最近彼の心情が分かるようになりました。でも「ありがとう」は言い続けています。
 「親切」と一般の人が思っていることへ感謝を表すことは、車いす使用者みんなのためと思っているからです。
 ドアとホームの段差がなければ、言わなくても済みます。ありがとうの回数を減らす社会であって欲しいと思っています。
 [11月17日掲載]

◉68才女性の考えと、お礼を言ったか確かめた人の考えについて
 親切に素直に感謝することは当たり前のことです。手間を掛けている駅員へ「ありがとう」と言う気持、このような手間を許容する
 社会に対して、感謝する気持ちを持つことは大切なことと思います。
 しかし、駅員のスロープ介助は「親切」ではなく「仕事」です。また、やろうと思えば東京の三田線や大阪モノレールのように、
 簡単に段差解消はできるのです。これは車いすのためだけでなく、高齢者やベビーカーの人など多く乗客にとって役立ちます。
 長い目で見れば人件費を削減できコスト的にも利点があるでしょう。
 どこかに行くのに一々行き先を告げ、途中で降りたいと思っても決めた駅でしか降りれない不自由さが、どんなに苦痛か考えてみて
 欲しいのです。電車に乗るだけでもそんな毎日なのに、ニコニコして「ありがとう」と言い続けるのはケッコウ大変なのです。
 でも「ありがとうを言い疲れた」と言わすのは悲しいですね。声を掛けた男性はどこまで考えての上だったのでしょか。

 ずいぶん前、初めてパリに行った時、偶然サンジェルマンの地下階段に車いすの男性が一人でやって来たのを見ました。
 どうするのか見ていると、たまたま一番近くにいた四人が車いすを持って階段を降ろしました。
 それがとても自然で、車いすの人も持った人もサラッとしていたのです。
 よく考えてみると、彼らはその行為を"親切としてやっているのではないな"と気付いたのです。
 "人として当然のことをしている"のだという考えが、身に付いているから自然なのだろうと。
 
 車いす介助が駅員や運転手の仕事になってしまった日本、公共交通に乗るのに"感謝"要求されなくてはならないのか?
 当たり前のことにも感謝を表すことを期待され、疲れしまった人がいて良いのか?
 素直に感謝して自問した女性も、もう少し掘り下げて考えるとどう思うのでしょうか。
 あなたは、どう思われますか?

 介助されて乗る、自力でみんなと同じように乗り降りできる、全く違うことです!

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by yamana-4 | 2012-11-22 01:33 | 障害者問題 | Trackback | Comments(0)
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