シンポジウム「触法」障害者の地域生活支援を考える

c0167961_2143229.jpgc0167961_21432753.jpg◉ 3/4 大阪で「八尾事件を考える会」主催のシンポジウムが行われ、多数の参加者が
この問題について改めて考えました。
07年、知的障害者のY君が起した「歩道橋からの幼児投げ落とし事件」は、すでに刑事
裁判判決は確定しY君は服役中ですが、被害者の後遺症に関する民事訴訟が起され、
Y君が通所していた施設とその代表者個人に対する損害賠償請求があり、審理中です。
施設利用者が第三者に加えた損害に責任を問われていて「危険の予見に対する責任と
使用者責任」が認められたら、問題行動のある障害者の受入先が無くなりかねないと、
強い危機感が持たれています。
もちろん被害者がきちんと補償を受けることは必要ですが「本件のような事案では困難
であり犯罪被害者給付金制度の拡充など、別途救済措置が必要」と担当の奥村弁護士は
指摘しました。


☆シンポジウム「触法」障害者の地域生活支援を考える
・基調講演:野沢和弘
「知的障害のある人が暮らしやすい社会をめざして」 
 日本の刑務所の矯正プログラムは機能せず負のスパイラルになっているのに対し、
 イギリスの国の責務で段階を経て行うダイバージョンとヘルプラインの話など。
・特別報告:奥村秀二
 八尾事件民事訴訟の担当弁護士として、経緯や上記争点や意味の説明と弁護団の取組
 について。裁判官のような優秀な集団だけで育った人は障害者と接した経験がなく
 理解してもらうことが困難と、問題になっている橋下教育改革に通じる指摘も。
・シンポジウム:田島良昭(コロニー雲仙)辻川圭乃(弁護士)畑健次郎(ゆうとおん理事長)
 助言者/野沢和弘 コーディネーター/楠敏夫(八尾事件を考える会世話人代表)

 (田島)事件後施設長がお詫びしていたが、謝るのは支援不足と八尾市長だった。
 加害被害ともに司法全体で考えるべき。取り調べの可化、特性配慮、研修などは急速に
 改善されてきた。福祉配慮は犯罪件数を減らしている。
(辻川)知的障害だから責任を取れないとは主張していない、特性に配慮が必要。加害障
 害者はほぼ全員過去に被害者である。大阪弁護士会は全国に先駆け専門登録の国選弁護
 人派遣を始め、現在120人が登録している。
(畑)支えられなかった結果、今がある。服役のあり方が問題、障害者は何度も規則違反
 で懲罰を受けコワイコワイと状態が悪化する。出所後、本人が選べる支援を考えたい。

 まとめで田島さんは「障害を持つ者を守るには行政がマナジリを決してやならければ、
 人権感覚のある専門家が必要」と熱く語っていました。
 最後に下記の声明文を読み上げ拍手で終了、声明文は拡散してください。

★この件についてのご支援やお問い合わせは「八尾事件を考える会」へお願いします。
 大阪市天王寺区生玉前町5-33 障大連内 TEL.06-8779-8126/FAX.06-67798109
Email/ network03@niftey.com

声明文一私たちは「八尾事件民事訴訟」について訴えます
 2006年12月13日、国連において「障害者権利条約」が採択され、障害のある人
に地域で暮らす権利が保障されることが明確に示されました。そして、これを受けて20
11年8月、我が国においても障害者基本法が改正され、障害の有無にかかわらず等しく
基本的人権を享受する個人として尊重され、どこで誰と生活するかについての選択の機会
が確保され、地域社会において他の人々と共生することを妨げられないとされています。
 しかしながら、多くの知的障害者は長い間地域の中で十分な支援を受けられず、孤立を
よぎなくされてきました。また、家族が在宅生活の中で、抱え込むことを強いられ、家族
が倒れれば、入所施設での生活を強いられる生き方を余儀なくされてきました。人里離れ
たコロニーや、入所施設の中ではしばしば人権が軽視され、隔離的な処遇が続けられてき
たのです。
 一方、社会の人々の中には直接障害者とふれあう機会がないまま「障害者は何をするか
わからぬ危険な人」と言った、予断や偏見が根深く存在してきました。
 1981年の「国際障害者年」を期にわが国においても、障害者を一人の市民として地
域社会の中で受け止めようというノーマライゼーションの理念が拡がり、そうした視点に
たって、地域でグループホームや作業所づくりの取り組みが進み、障害者を支える体制が
作られてきています。また、知的障害者の社会参加を進めるためのガイドヘルプ制度など
も徐々に拡充されてきました。もちろん、こうした制度もまだスタートしてまもなく、更
に財政や人材の不足、支援者のスキルの欠如など、課題も山積しているのも確かです。
 とりわけ「触法」障害者といわれる、罪を犯してしまった障害者の支援はまだはじまっ
たばかりであり、これからの支援の充実が課題となっています。
 そして、知的障害者が不幸にも事件を起こした場合、被害者に対して、その責任賠償を
誰が負うべきなのかということも大きな懸案であるといえます。
 国家賠償制度全体がまだまだ不整備な状況の下で、知的障害者を支援している社会福祉
法人やNPOに損害賠償責任が全て求められ、結果として経営困難に陥ることになるとす
れば、今後いったい誰がそのような「触法」障害者の支援をしていけばいいのでしょうか。
 2007年に知的障害者Yさんが、大阪府の近鉄ハ尾駅前の歩道橋から幼児を路上に落と
した事件(いわゆる「ハ尾事件」)に関連して現在民事訴訟が起こされています。
  障害があってもなくても、社会で暮らしていく以上、その能力に応じた責任を負うこ
とは言うまでもないことであり、Yさんは、現在服役中であり、その刑事責任を全うしてお
り、民事責任についてもその能力に応じて問われることは当然です。 
しかし、今回の民事訴訟は、Yさん本人のみならず、Yさんが事件当時通所していた作業所
を運営する社会福祉法人に対しても責任を問うものとなっています。
 原告の被害者及び保護者の強い苦痛や不安をしっかりと受け止め、当該の社会福祉法人
は可能な限りの支援を実践してきていると考えます。そして、このような事故については、
支援する法人に明白な過失がない場合は、本来国が被害者の救済を行うことが必要である
と考えます。
 私たちは、「触法」障害者を支援する社会福祉法人やNPOの実践を、後退させてはな
らないと考えます。知的障害者の一人として、地域社会で充実した暮らしを送るためには、
行政施策の充実や、支援体制の充実が緊急の課題なのです。
 今回の民事訴訟における原告のお子さんや保護者の苦悩や憤りを理解しつつも、現在の
私たちが全国各地で取り組んでいる知的障害者等への支援はどうしても後退させるわけに
はいきません。このような私たちの取り組みの趣旨をご理解いただき、より大きな支援の
輪が作られる社会的な運動が盛り上がることを私たちは強く願います。(2012/3/4)
by yamana-4 | 2012-03-04 21:52 | 集会.発表.学会.展示会 | Trackback | Comments(4)
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Commented by ma-ki at 2012-03-04 23:20 x
私は八尾事件の当事者であり、このシンポジウムに参加していたものです。こちらのブログ記事を読ませていただき、その内容を的確に記事にされているのには感心しました。シンポジウム内容または八尾事件をご存知だと認識しますがどのような感想をお持ちでしょうか?率直に述べて下さればと思います。
Commented by yamana-4 at 2012-03-04 23:59
ma-kiさんコメントありがとうございます。
この事件が起きた時はすごく衝撃を受け、今日のように堀り下げた議論ではありませんでしたが、区の障害者例会には多少の関係を持っていた者もおり、かなり真剣に事件について話し合いをしました。どのような経過をたどり、今どうされているのかずっと気掛かりでしたが、今日は新たな問題に突き当たっておられることを知り、大勢の方に知って頂きたいとブログに書き込みました。「問題がある子だからこそ引き受ける」という姿勢には本当に頭が下がります。みんなで協力してY君にも、同じような境遇のかたにも、ゆうとおんさんにも、支援の輪が広がって欲しいと願っています。
Commented by ma-ki at 2012-03-05 11:36 x
yamana-4さん御言葉有難うございます。

今回のシンポジウムの参加において「考える会」をはじめ各支援者のおかげで触法障害者と呼ばれている方の地域移行への関心が高まりつつあることが実感できました。まだまだ道のりは長いですが私達のモチベーションを保持させてくれる意義のあるシンポジウムだったと思います。

こちらの記事はとてもニュートラルにまとめておられます。大変恐縮ですが、今回のシンポジウムに参加できなかった方の為に紹介リンクさせていただきたく思いますのでご了解下さい。そして今後共ご支援よろしくお願い致します。
Commented by yamana-4 at 2012-03-06 02:32
ma-kiさん
お役に立つようでしたらどうぞお使いください。
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